Commerble Inc.

menu
iOS15から開封率が計測できなくなることによる
メールマーケティングの今後

メールマーケティングとは

メールマーケティングとは、メールを利用したマーケティング手法の総称です。 新規顧客の獲得、見込み顧客の育成、既存顧客のリピート促進/関係維持など、さまざまな目的のために行われます。 集客からCRM(Customer Relationship Management /顧客関係管理)まで、マーケティング領域を幅広くカバーすることができる手法です。

SNSが普及した今、メールマーケティングは時代遅れだと感じる方もいるかもしれません。 ですが、 Mail Marketing Labの調査によると企業やネットショップからのお知らせの受信方法はEメールが100%であることが分かります。個人間のコミュニケーションツールとしてSNSが普及していますが、企業と顧客のコミュニケーションツールとしては、メールが圧倒的に有効です。
メールマーケティングは、とても効果的なマーケティングの手法だと言えます。


iOSでメールの開封率が計測できなくなる

「開封率」とは、メールマーケティングにおける効果測定指標の一つです。受信ボックスに到達したメールのうち、実際に開封されたメールの割合を指します。メールの開封数は、HTMLメールを配信した場合に取得できます。HTMLメールを配信すると、メール内に、計測用のパラメータが付与された空(から)の画像参照パスが挿入されます。ユーザーがHTMLメールを開いた際、この空画像が参照されることで開封をカウントする仕組みとなっています。
「開封率」から、開封時刻・位置情報・デバイス情報・顧客が関心を示すメールの件名などが分かります。

2021年6月に開催されたApple社のディベロッパー向けイベント「WWDC21」にて、「2021年秋にリリース予定のiOS15では、iOS標準のメールアプリを使用している読者の開封情報が分からなくなる」といった発表がされました。

"In the Mail app, Mail Privacy Protection stops senders from using invisible pixels to collect information about the user. The new feature helps users prevent senders from knowing when they open an email, and masks their IP address so it can’t be linked to other online activity or used to determine their location."

【訳】Mail appのメールプライバシー保護機能は、送信者が非表示のピクセルを使用してユーザーに関する情報を収集するのを防ぎます。この新機能は、ユーザーがメールを開いたときに送信者がわからないようにし、IPアドレスをマスクして、他のオンラインアクティビティにリンクしたり、場所を特定したりできないようにします。

引用元:Apple advances its privacy leadership with iOS 15, iPadOS 15, macOS Monterey, and watchOS 8

"Since Mail content may be loaded automatically after delivery, the time of Mail viewing will no longer be correct.
And since that content is loaded without revealing people's IP addresses and without detailed headers, the location and type of device reading the Mail aren't revealed.
And you'll see your emails as being opened, regardless of if the user read it or not."

【訳】メールの内容は配信後に自動的に読み込まれる可能性があるため、メールの表示時刻は正しくなくなります。
また、そのコンテンツはユーザーのIPアドレスや詳細なヘッダーを表示せずに読み込まれるため、メールを読み取るデバイスの場所と種類は表示されません。
そして、ユーザーが読んだかどうかに関係なく、メールは開封されたように表示されます。

引用元:Apple’s privacy pillars in focus

iOS 15でMail Privacy ProtectionをONにしたユーザーは、

  • 開封時刻、位置情報、デバイス情報は不正確になる
  • 開封率が100%として計測される
ということが分かります。


どのくらいの影響が考えられるか

今回のAppleのポリシー変更は、iPhoneやiPadでAppleMailアプリケーションを使用している顧客に適用されます。つまり、iPhoneを使用し、Gmailプラットフォームでメールを読む顧客には影響しません。
しかし、iPhoneは世界中でシェアされています。とりわけ日本は、6割以上がiPhoneユーザーです。

引用元:Operating System Market Share Japan

今後、他の事業者もAppleに追従し、メール開封率を計測できないようにする機能を搭載する動きも想像できます。

その中で、Mail Privacy ProtectionをONにするユーザーはどのくらいいるのでしょうか。「WWDC21」によるとMail Privacy Protectionを設定する際のUIは下の写真のようになっています。

引用元:Apple’s privacy pillars in focus
  • Protect Mail activity
    【訳】メールアクティビティを保護する 
  • Don't protect Mail activity
    【訳】メールアクティビティを保護しない

という二択になっているので、Protect Mail activity を選択し、Mail Privacy ProtectionをONにするユーザーは、多いと考えられます。


開封率が計測できなくなることを考慮し、メールマーケティングは今後どう行っていくべきか

開封率以外の主要指標として以下の3つが挙げられます。

  • メール到達率
    メール到達率とは、送信するメールの総数に対して、確実にお客様の受信ボックスに届いたメールの割合です。
  • クリック率
    クリック率とは、メールが開封され、読まれたときの反応の割合を示すものです。メールは開封されたとしても、最後まで読まれているか、興味をさらに高められたかはわかりません。これらは、メールの中にURLを盛り込んで、クリックされたかどうかで測ることができます。
  • コンバージョン率
    コンバージョン率(CVR)とは、配信者のメールの目的(お客様の反応)が達成された割合です。マーケティング上で配信するメールは、資料請求、問い合わせ、申込みや応募、購入など最終目的が異なります。

開封率から一つステップアップした指標にクリック率があります。クリック数は、Google Analyticsのようなアクセス解析ツールが指定するパラメータをURLに付与して送付することで、カウントできます。そのため、クリック率は、今回のAppleの機能追加に影響を受けないと考えられます。
下記の引用記事でも次のように述べられています。

“メールマーケティングでは、ユーザーに固有のクリックURLを生成している場合も多く、一部のキャンペーンでは、そのユーザー固有のURLをクリックした場合のみ表示されるオファーやクーポンが存在することもあります。よって、iOS 15がクリックURLを書き換える可能性がないとは言えませんが、ユーザー体験を削ぐ可能性が大いにあるため、その可能性は低いと思われます。
また、メール配信ツールのクリック計測の仕組みは、メールクライアントソフト上ではなく、クリックしたURLの飛び先である、メール配信ツールのサーバー上で行われます(URL短縮ツールでのURLクリック数計測と同じような仕組み)。よって、URLが書き換えられなければ、クリック数は従来通り計測できるはずです。”
引用元:iOS 15でメールマーケティングは変わるのか?これからの計測課題

上の引用記事からも、今後もクリック率を意識したメールマーケティングが大切であるということがわかります。計測できないとしても開封率が低いことには、クリック率も低くなってしまいます。そのため、今後も変わらず「開封率」「クリック率」の高い効果的なマーケティングメールを行う必要があります。


まとめ

iOS15からメールの開封率が計測できなくなります。開封率を効果測定の大きな指標としていた場合は、アップデートの影響を受けないクリック率などの指標に変える必要があります。
ですが、今後もメールマーケティングの有効性、クリック率を上げ最終的にコンバージョンを達成するよう顧客を促すという目的は変わりません。今までと同じく、コンバージョン達成のために顧客の心を動かすメールマーケティングを行えば、高い効果を得ることができます。

CommerbleTOPへ
お問い合せフォームへ