最近、TV番組でも取り上げられ、ホームセンターなどでも展示ブースが設けられたりと徐々に広まりつつあるDIY。 DIY(ディー・アイ・ワイ)とは、素人(専門業者でない人)が、何かを自分で作ったり修繕したりすること。英語のDo It Yourself(ドゥ イット ユアセルフ)の略語で、「やってみよう」という意味です。出典 フリー百科事典Wikipedia
日本ではまだ身近とは言い難いDIYですが、アメリカではかなり浸透しているようです。どういった点でアメリカのDIY市場が優れているのか見ていきましょう。
1,日本とアメリカのDIY市場規模
下のグラフは日本のDIY市場規模を表したものです。2019年4兆円規模、4,810店舗とされています。
(参考 日本DIY・ホームセンター協会)
続いてアメリカのDIY市場規模を表したグラフです。
2018年アメリカでの実績は3,914億ドル、約42兆円であり、日本の10倍の規模となっています。アメリカでは住宅改修DIYの世界市場規模が年4.8%成長、2025年には世界全体120兆円規模になると見込まれています。
DIYには、芝生・庭園・ガレージ・部屋の改修・電気・配管の改修とそれに伴う木材・照明・建築材料・装飾が含まれます。
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![](/files/contents/diy23.png?_rc_=515)
上の画像はアメリカのDIYの一例です。
日本でDIYと聞くと棚や机といった、組み立てを要する比較的簡単なものを思い浮かべますが、アメリカでは、壁・キッチン・階段・アウトドアーオーブンなど、本格的で手がかかるものまでDIYされているようです。
2,アメリカのDIYが発展している理由
なぜ、ここまで日本とアメリカのDIY市場規模に大きな差が生じているのでしょうか。
アメリカが、日本では業者に依頼するレベルのものまでDIYしてしまう事には、意外な理由がありました。
- 職人が雑なので自分でやったほうが質の高いものができる
- DIY可能な賃貸や中古物件が多い
- 家具が高いためリユースが一般的
このような理由から、DIYが日本に比べよく浸透しているようです。 日本では職人の腕を頼れば、確実で満足のいく商品が得られるので、 1. の理由は衝撃的ですね。
3,アメリカのDIY通販におけるEC
3-1,ALLMODERN
- SimilerWEB #6455(#1388 USA)
- 月間セッション 700万
2006年スタートの家具のECです。バスルーム・キッチン・フローリング・キャビネット・トイレ便座・庭用品などを販売しています。
運営はWaifair(NYSE上場)。時価総額は約2兆円。運営のwayfair.comは家具ECではSimilerWEBランキング世界一位になっています。ちなみに二位はニトリです。
検索と見せ方、他の家具含めた写真の使い方がとても上手です。
3-2,Amazon.com
- SimilerWEB #13(#4 USA)
- 月間セッション 26億
Amazonでは、お風呂の鏡からドアの接続部分・ちょうつがいまでなんでも揃います。
3-3,homedepot.com
- SimilerWEB #150(#38 USA)
- 月間セッション 2億
アメリカ最大のホームセンターhomedepotのオンラインストアです。時価総額は約30兆円であり、世界で23位です。ちなみに日本企業で時価総額トップのトヨタは、2.3兆円であり、世界49位です。
商品が探しやすく、カテゴリが最も充実していてDIYに必要な品は何でも手に入ります。DIY系の動画・記事が揃っていることが最大の特徴です。自動車ジャッキアップや、自分の庭で芝刈り機の使い方、風呂の蛇口を取りける方法など、材料の販売の他にDIYに挑戦しようと思っている人にとって充実した情報を提供しています。
3-4,overstock.com
- SimilerWEB #842(#173 USA)
- 月間セッション 4,400万
1999年創業時、年間180万ドルの売上だったECの老舗です。今では、2019年14.59億ドルの売上に成長しました。2020年はコロナの影響で売上が1.5倍ほどに伸びています。overstock.comの注目すべき点は、米国の顧客99%に配送2日以内を実現する点です。購入後すぐに届くというのは購入者にとって非常に魅力的なポイントですね。 家具・ラグ・キッチン・アウトドア・ジュエリ等の商品を販売しています。
アメリカでのDIY普及の裏側には、販売サイトの充実も大きく関わっていると言えるでしょう。これだけ商品や組み立てのhow toが充実していれば、気軽にDIYを始めることができますね。
続いて先ほど紹介した4つのECの中でも3-3,homedepot.comに注目し、優れたDIY通販を学んでいきたいと思います。
4,homedepot.com
4-1,homedepotの基礎データ
homedepotはアメリカ最大のホームセンターで、カナダ・メキシコ・中国にも店舗を展開しています。住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーンです。
ダウ平均株価30・フォーチュングローバル上位100にも採用されている超優良企業であり、年間売上12兆円、株式時価総額30兆円です。2014年時点でEC売上が2800億円ありました。売上の3割から4割が業者で、DIY消費者よりも業者による売上の伸びが上回っています。(2017/1Q)
小売の殆どがamazonに脅かされている中、売上も株価も成長し続けている企業です。
https://www.homedepot.com/4-2,homedepotのECの特長
- 豊富な商品カテゴリ
- 豊富なDIYコンテンツ
- プロに依頼できる
- ツールレンタルができる
- シンプルでわかりやすいUI
- プロジェクト計算機機能
- 素早い配送
- 会員登録時のメール
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-2-1.豊富な商品カテゴリ
カテゴリ1
「All Departments」
↓
カテゴリ2
「Bath & Faucets」
↓
カテゴリ3
「赤枠箇所」
と米国のECの例にもれず、カテゴリが充実して分類されています。
4-2-2.豊富なDIYコンテンツ
下の画像の全てにおいて、DIYコンテンツのカテゴリでクリックすると、当該カテゴリの豊富なブログや動画を誰でも無料で見ることができます。これは、amazonが参入してこない分野です。
How toを確認するもよし。コンテンツを見て次は何をしようか考えるもよし。homedepotの豊富なコンテンツがあなたのDIYを手助けします。
上の画像は、「Outdoor Living Ideas」カテゴリのコンテンツを2つ抜粋したものです。街灯のかけ方、低電圧のライト導入方法が簡単に理解できます。
4-2-3.プロに依頼できる
プロに依頼することも可能となっています。プロとの提携はマーケットプレイス方式です。
風呂・デコ・ドア&窓・家の外・フロアー・キッチンなど、豊富なカテゴリーが準備されています。ひとつひとつのカテゴリにLPが存在し、口コミも見ることが出来るので安心です。
4-2-4.ツールレンタルができる
Homedepotでは様々なツールをレンタルすることも可能です。
工具をレンタルする顧客は、年間取引額が多い統計があり、そのデータからレンタルサービスを提供しています。レンタルする顧客はプロである事が多く、ツールレンタルではプロの顧客の獲得を重視しているようです。
レンタルカテゴリは約50種類あり、重機もレンタルすることができます。
4-2-5.シンプルでわかりやすいUI
全てにタイトル付けと説明がされています。
更に、URLも丁寧であり、どこから遷移したか分析可能なようにパラメータがついています。
4-2-6.プロジェクト計算機機能
作る前にサイズのシミュレーションができる便利な計算機能です。タイル・キッチン・引っ越し・エアコン・壁紙・草木の種・色塗り・デッキなど様々な計算ができます。失敗が減り、効率的にDIYが進みますね。
百聞は一見にしかず、ぜひ試してみてください。
プロジェクト計算機TOP4-2-7.素早い配送
2日以内に99%配送しています。配送料は無料です。配送状況が進行したらメールかSMSで通知が来ます。
店舗受け取り・コンビニ受け取りも可能です。
4-2-8.会員登録時のメール
homedepotの会員登録時に届くメールはオンボーディングに優れています。
新規登録の謝辞から始まり、続いてユーザーのメリット5か条が掲載されています。
- 以前の注文はすべて閲覧可能
- オンラインだけでなく店頭購入も履歴を残せる
- すぐにチェックアウト
- ウィッシュリストも作れる
- 電子メールで貯蓄(Saving)とDIYのアイデアを提供(受信種類は制御可能)
一通りメリットが提示された後、詳細情報(氏名、Email、zipcode、モバイルフォン)を入れたら5ドルクーポンが貰える見出しが表示されます。
会員登録時のメール一つに有益な情報がうまく記載されています。非常に優れたメールと言えるでしょう。
DIY市場規模が日本の約10倍であるアメリカの優れたDIY通販をご紹介しました。文化の違いもありますが、ECやコンテンツの充実により、日本に比べ大きく前進しています。アメリカのDIY通販事情を参考に日本でのDIYの普及も見込めるのではないでしょうか。